株式に投資して余裕資金を増やすための本
「愚行を犯してからでは遅い」と後悔しないために
私の場合は、株式投資を2005年7月から実践しています。しかし、それまでの私は、ほとんど資産運用から利益を得るという発想を持っていませんでした。
理由は、自分には資産運用なんてまだまだ関係のない世界の話だと本気で思っていたということと、そのために何も勉強しておらず、資産運用についてよく分からなかったので、近づくことを本能的に避けていたからです。
今となっては、視野をもっと広げておくべきだったと後悔しています。
しかし、そうはいっても最初に断っておきますが、私はあなたに資産運用をすすめているわけではありません。
資産運用は運用対象についてまず自分で徹底的によく調べて行う必要がありますし、人それぞれ考え方、手に入る情報、投資経験や投資金額により見える世界、資産運用にあてられる時間や環境というものが異なりますので、仮にこの方法ならうまくいくというやり方があるにしても、あなたがその通りに実践できるとは限らないからです。
また、本に書いてあることや有名な投資家のまねをしたとしても、必ず成果を得られるという保証はなく、逆に、あなたの大切な財産に深刻な打撃を与えてしまう可能性もあるからです。
ですから、それでもどうしても始めたいというのであれば、あくまでも自己責任でなさってください。
もし株式投資を始めるなら、何の知識もないうちに何も調べないうちに、あなたの大切な財産をいきなり市場に放り込むのはやめておいたほうがよいでしょう。
株式投資について何の知識も持たない人が早く始めたからといって、必ずしも市場で安全に利益をあげることができるとは限らないのです。
しかも、右も左もわからない状態では、相場の振り子が大きく揺れ動き、株価が地球の引力に引かれて真っ逆さまに暴落したとき、パニックに陥って適切な行動が取れないでしょう。
そこでまずは、世界的に株式投資で大成功した人物の株式投資に対する考え方や犯した過ちを読書によって知る必要があるでしょう。
株式投資には投資に値する企業であるかを見極める力とか、相場に身おく大衆の心理や行動パターンとか、株価が企業価値に比してどのくらいの位置にあるのか見極める力など、知っておいたほうがよい先人の知恵の蓄積がありますので、まずはこれらを知ることが重要です。
そして、偉大な投資家でさえも、過去過ちを犯したことを認めていますが、そういった告白はこれから投資をはじめようという人に役に立ちます。
しかし、いくら本で勉強しても、知識だけでは株式投資はそれだけではうまくいかない場合が多いのです。
悪い材料が出たという理由で株価が急落した場合、これ以上の損をしたくないというのが普通の人間の感覚ですから、損を覚悟で売り払ってしまったら、そこがまさに底だったとか、良い材料が出て株価が急上昇したから飛び乗ったら、そこが頂点で、その後急落したなどという場面が、過去何度も繰り返されてきたのです。
実際に投資して失敗と成功を繰り返すなかで、いかなる状況になったとしても平然と構えていられるだけ現実に安全域を確保しつつ、同時に臆病や貪欲な心を抑えられるよう精神修行もする必要があります。
株式投資で利益を得るには、株価が安いときに買って、株価が高いときに売ればよいという最も基本的な理屈は小学生でも理解できますが、それを行動に移し利益を得るには、経験がなければ難しいのです。
たとえば、2008年におきたリーマン・ショックのときに、いったいどれだけの人が恐怖心を克服して自己が優良と信じる銘柄を買い進むことができたでしょうか?
そういった市場がパニック状態に陥ったとき、実際の企業価値よりも株価が大きく下落したときに、以前から欲しいとめぼしをつけておいた優良銘柄を買うことが最も安全な投資法であるにもかかわらず、そういった銘柄の選択準備すらせず、投資哲学を持たないためにうわさに翻弄され、近視眼的な投資しかできない多くの人々は、ただ恐怖におびえるだけで大抵の人は幸運の宝船に乗ることは難しいのです。
また、もし仮にそういう事態に陥ったときにチャンスと分かっていても、手元に投資できるお金が準備できていなければ、またチャンスをつかむことはできないのです。
結果は、ご覧のとおり株価は大きく回復しました。
自分でよく調べ、確信をもって行動する準備をした者だけが、めったにこない大きなチャンス到来のタイミングで大きな利益を手にすることができるのです。
私もリーマンショックのときは以前から注意していた銘柄を買い増ししていましたが、そのことを周囲の友人に話したところ、大変心配されました。
人のことを心配するよりご自分の財産形成を心配なさったらいかがですか?と思わず喉まで出かかったところです。
さて、ここでは、純粋に株式投資だけで大富豪になり、相場に身をおく者に大きな影響力のあるウォーレン・バフェット氏に関する書籍をご紹介します。
あなたが株式投資で成功したいなら、世界で最も成功している人物についてやその偉大な投資家の投資方法について知りたいとは思いませんか?
次の本は、ウォーレン・バフェットについて分かりやすく紹介している本です。
億万長者がどうやって誕生したのか?投資哲学の確立や自分自身を知ることの重要性、バフェットの過ちに学ぶことなどについて書かれています。
この本を読んで、株式投資にこれまで積極的に関わろうとしなかったために、どれだけ時間の無駄遣いをしてきたのかということを私自身は思い知らされました。まさに、目の醒める思いがした本です。
そして、バフェットの投資方法についてさらに詳しく知りたくなり、実践してみなければ気が済まなくなったのです。
それで、これらの本をすべて読みました。
私がそのとおりにできるわけではありませんが、バフェットのやり方は大変安全性が高い投資法だと納得していますので、まだご存知ない方にご紹介します。
第一は、「バフェットの銘柄選択術」です。
この本は、まず、企業をコモディティ型企業(他との差別化ができない低付加価値企業)と消費者独占型企業にわけ、重視すべき優良企業を消費者独占型企業とし、さらに消費者独占型企業を見分ける基準やタイプ、絶好の買い場が訪れるケースについて解説しています。
そして、企業に悪材料が出て株価が値下がりしているときが買いのチャンスであるわけですが、投資を行う前にその企業がその悪材料を克服していけるだけの力強さを持っているか吟味し、またその企業の株に投資することがほかの投資機会に比べてどう有利なのか知る必要があります。
そのためには、企業の本質的価値を計算する方法を知らなければなりませんが、この本は、そこを解説してくれます。
第二に、「麗しのバフェット銘柄」です。
この本で私が特に役立ったと思う点は、特に第九章の株価サイクルと選別的な逆張り投資についての記述です。
株価は行き過ぎればいつかは下降しますし、逆に市場参加者のパニック売りによって企業の本質的価値より株価が下落することがあるわけですが、天井から底値に向かう下降相場、底値から天井に向かう上昇相場の過程で、どういった特徴が見られるかを知ることは、自己の投資行動を決定する上で役に立つからです。
第三に、「バフェットの教訓」です。
この本は、自己の株式投資の過ちや投資に対するおごりをいつも戒めてくれる本になると思います。
私は、この本の内容をテーマごとにすべてタイピングしてパソコンに収録しており、数々のウォーレンの意味深長な警句をいつでも振り返ることができるようにしています。
ウォーレンの警句は、株式投資だけでなく、仕事で迷いが生じたときに正しい方向に指南してくれる効力もあることに気づき始めている今日です。
このほかにも、ウォーレン・バフェットに関する書籍はたくさんあります。
さて、ここまで読めば株式投資に対する正しい気質というものを理解できると思います。
しかし、これだけではまだ始めるべきではありません。
次にあなたがすべきことは、自分が信じられる銘柄の選択基準を明確にして、実際に投資する企業を選別することです。
そのためには、その企業の有価証券報告書や半期・四半期報告書、ホームページを読み込んだり、実際に会社の経営者に話を聞いたり(将来のビジョンは?博打をしていないか?大株主は信用できるか?)、現場の状況を視察したり(経営者は誠実な人間か?その地域・国の人々はその会社の商品やサービスを継続的に購入してくれているか?国策に乗っているか?など)して、肌で感じることが大切です。
自分なりに投資に値する企業を絞り込むことができても、まだ投資しません。
株価が企業価値に比較して割安な水準になるまで、慎重に買い進むべきチャンスを待つべきだからです。しかし、大きなチャンスは滅多にやってこないのです。
したがって、大きなチャンスがやってきたときは、決然と実行に移すわけですが、既に高値で株に資金を突っ込みすぎて手もとに現金がなかったり、買うべき銘柄の選別をしていなかったりしていては、チャンスをつかみ損ねて泣きを見ることになります。
周到に準備して、買いたい衝動や売りたい衝動、買いたくない気持ちや売りたくない気持ちをコントロールできるよう日ごろから訓練しておくことが大切です。
もちろん、ここまでやらなくてもデイ・トレーダーのように超近視眼的な視点で、単に株価の高低を利用した売買から利益を得る方法もあります。
しかし、その方法では勝つ確率と同じくらい又はそれ以上に負ける確率も高くなり、博打の域をでないといわざるを得ませんし、バフェットの本から学んだ私としては、このような方法をとるべきではないと思います。
不勉強や借金までして株を買うこと、せっかちで衝動的な売買、臆病、強欲などは、自分がしていることについて右も左もわからない者から容赦なく財産を剥ぎ取っていくでしょう。
市場から利益を得るということは、容易いことではありません。
100%安全な投資法などというものはありませんが、安全性をより高められる投資法ならあります。その方法をウォーレン・バフェットは教えてくれています。
より安全で大きな利益を得ることができる投資法について、知っているのと知らないのとでは、雲泥の差をもたらすに違いありません。
ところで、私の場合は現物株式に投資しています。
それは、株式に投資するということは、言い換えればその企業の一部を所有するということになりますので、根源的経済性の高い秀逸なビジネスを適切な価格で保有してさえいれば、売らない限りその企業が刻々と生み出す商品やサービスによって企業価値が高められ、いずれは株価に反映されることになるからです。
どの会社が根源的経済性の高い秀逸なビジネスか?を判断するために、過去10年にわたってどのような実績を出し続けているか?を調べることはできるし、その会社が自分の銘柄選択基準に適合したならば、完全には当たらなくとも将来的にもこのくらいになるであろうと予測を立てることはできます。
そのため、現物の株式を買っています。
FXを含む為替や商品相場、業績が毎年乱高下している会社の株式などは、こういった視点から予測できませんので、リスクが大きすぎるといわざるを得ないと私自身は考え、一切手を出していません。
ウォーレン・バフェットが言っているとおり、
「賢者が最初にやることを愚者は最後にやる」のです。
お手軽な儲け話を聞いて、我も濡れ手で粟をつかもうと既に終わりかけているパーティーに参加するということがないように欲望を自制し、大きなチャンスが目の前に到来したときに決然と行動できるよう、周到に準備する必要があります。
賢者は市場参加者が総悲観している暗雲に満ちた状況や株価高騰で浮かれている状況が訪れるのを辛抱強く待ち、ここぞというタイミングで動くのです。